





















写真:山田圭司郎
重量鉄骨躯体内を洞窟敷地と解釈する
日本六古窯のまちの窯元のための、築およそ半世紀の2階建重量鉄骨造の元店舗兼住宅の既存建物を、1階にショールーム兼店舗、2階を作品の撮影スタジオも兼ねた住居へのリノベーションの計画である。(1階は今後工事予定)
既存の重量鉄骨造の建物はすでに十分な耐震性があり、さらに対候性を備えた鋼板で覆われているが、唯一前面道路に向けて上下階とも大きな開口がぽっかり空いていた。
我々はこの状況を、縦2段の口が開いた強固な洞窟のような敷地と解釈する事とした。
この洞窟のような敷地に、単純な四角いボリュームを置いてみる。その際、平面軸を既存架構軸線より約9度回転させて配置する事で、洞窟内壁面(既存重量鉄骨造外壁面)と四角いボリュームの間に隙間が出来、仮想の外部とした。この事で2階でありながら地続きの外部が多数生まれ、まるで平屋建ての様に外部との融合的な住い方が可能となっている。居間の南側には日当たりの良い庭ができ、半屋外の様に過ごせるし、水回りに面してはサービスヤードがあり、物干しや一時的なごみ置き場としても使えるのである。なお必要面積を確保するため、新しいボリュームは洞窟の開口から一部飛び出している。
開口部付近は風雨、日射などに晒されるが少し奥に行けば安定した環境になるため、柔らかい建材、例えば地盤に直接木材を並べる事や、プラスターボードを外壁に使う事などが許容される。本計画は更新性を考慮し、主に木材、石膏ボードを使い、極力仮設的に設えている。
さらに構造耐力上信頼のおける既存スラブや鉄骨梁が存在するため、それらに荷重を預けられれば、新たなボリュームは仕上げを保持できる程度の強度でよい。
つまり、新たな建築躯体を支える柱も、耐震壁も不要で、床と天井のみの状態まで還元可能である。(工事写真参照)
新たな住空間の要素として、木の床組を「置き」天井を「吊る」し一旦仕上げている。そうする事でプランニングは梁のスパンによる制約から解き放たれる。
将来、住い手の構成が変わったとき、間仕切り変更が必要になっても、内部の構造的制約はなく、変更可能である。

↑展示会:アンダーリノベーション2024での展示模型
概要
所在地:滋賀県甲賀郡信楽町
用途:専用住宅
構造規模:既存重量鉄骨造の内部に木造
竣工:2024
設計監理:高橋勝建築設計事務所
施工:森工務店






