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2024-07-10

黒門通の住宅

写真:笹倉洋平  

黒門通の住宅

 下京区に建つ古い京町家の調査診断+性能向上改修です。
ここで生まれ育ち独立された子世帯が、次は自分たちの子育ての為またこの京町家に戻りご両親と一緒に三世代住まう、住み継ぐための改修となりました。
既存は離れ含め、間口3間、ウナギの寝床状の延べ面積約197㎡と広い町家。古くから染め物に使われてきた歴史もあり、ミセの間の地中には今も大きな染壺が埋まっていると聞きました。確かにこの家が面する黒門通に建つ町家の格子をみると、染屋格子になっています。
内部は長年繰り返されてきた場当たり的な改修、間取り変更により奥行方向に廊下が多く主な居室が外部に面しない暗く快適とは言えない住まいとなっていました。また間口方向の耐力壁が殆どなく、耐震的に危険な状態でした。
今回の改修では今後永く住み継いでいける住まいとなるよう、耐震改修も兼ねた大幅な間取り変更、断熱改修、水回りの刷新を行いました。
間取りはすべての居室が庭か黒門通に面し、庭の風景や光と風を内部に取り入れる事が出来る設えとしました。そのために、中庭、裏庭を整える事に加え、もともとあったであろうトオリニワに面した一坪の外部を復活させ小さな庭としています。
改修は、昔からこの家に出入りされており、施主の古くからの友人でもある斉藤大工とともに進めました。結果的に1年弱かかった改修工事となりましたが、斉藤大工から複数の若い大工への技術の継承の場でもあったと思います。
大工からの提案である、階段手摺や通りに面した手摺へ彫られた擬宝珠、枠材の納め方に白銀比などが潜み、大工に継承されてきた審美性も垣間見える空間となっています。

概要
所在地:京都市下京区
構造規模:木造地上2階(ロフト収納あり)
延床面積:197.76 ㎡
竣工:2022
設計監理:高橋勝建築設計事務所
構造設計:能戸謙介(アトリエSUS4)
施工:斉藤工務店

 

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