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2020-02-02

神山の家

写真:住山洋 

神山の家

シニア夫婦のための、築143年缶詰茅葺き民家の改修
子供が独立し、二人暮らしとなっているご夫婦が暮らす古い缶詰め茅葺きと50年前の増築部の耐震・断熱改修である。 明治初期より受け継がれ、半世紀以上も暮らしてきた茅葺きの家屋に今後も安心して、暖かく快適に住み続けられるようにすること、また改修後でもGWや夏休みに集まる大勢の子供家族達と楽しく過ごせる家が求められた。
耐震フレームによる補強
本計画の耐震改修では、「耐震フレーム」というあまり見慣れない構造フレームを茅葺き建物の主架構を取り囲む形で4箇所に配置し、主たる耐震要素として殆どの水平力を負担させている。「耐震フレーム」とは、105角の木材で組んだキューブ状のフレームを基礎に緊結し、X,Y、Z方向へ90角の筋交いを組み込んだ強固な構造物である。(別紙参照) なぜ「耐震フレーム」を考案・採用する事になったかは以下の理由からである。 茅葺き棟の主架構にはもともとまともな壁がなく、引戸と垂れ壁、床の間ですべてであった。これは、建具を取り外せば広い空間となる事で冠婚葬祭や親戚・地域の集まりなどにも対応出来る民家住宅の重要な機能であり、この柔軟な機能はクライアントの住い方から、また明治期からの建物を残したいという要望からも残す必要があった。しかし耐震診断では、最小評点が0.55という結果であり、このままでは大地震時には倒壊する可能性が高ことに加え、茅葺き主屋と増築部は高さ・重さが異なり別々に動きやすく、一気に崩壊するリスクが高かった。そのため主屋と増築部それぞれに十分余裕のある耐力を持たす事で、変形差を抑える耐震補強が必要であった。だが、そこまでの耐力をもたせる耐震改修は工期工費ともに大きくなってしまう事に加え、住い方の保存という条件から、主架構には壁が作れないという予条件があった。そこでひねり出したのが空間を仕切らない「耐震フレーム」である。
耐震フレームで十分な水平耐力(他の要素も含め総合的に評点3.13)を確保できたため、既存の建物壁面の大きな解体や大規模な基礎工事も必要なく躯体の健全化と新設の土間と躯体の緊結のみという、比較的小規模な工事内容と出来た事は、改修コスト縮減と工期短縮に大きく寄与している。また、フレームはベンガラで仕上げられて南側ファサードに現れ、耐震性向上のシンボルのように茅葺き民家のアクセントとなりながら住人に安心感を与えている。
耐震性と断熱・温熱環境性能向上計画・工事報告書

概要
所在地:滋賀県甲賀市信楽町

構造規模:木造平屋
工事延床面積:93.17m2
竣工:2019年12月
施工:森工務店
構造設計:アトリエSUS4 能戸謙介

掲載
architecturephotonet

工事中の様子はこちら→「神山の家(工事中)」

撮影者についてのブログ記事はこちら→「神山の家が住山洋のHPに掲載されています」

住宅医についてはこちら→「住宅医に認定されました」

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