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2021-07-08

堤町の家

「堤町の家」は中古住宅を、前庭のある事務所兼住宅への小規模リノベーション計画である。

2階居間のひだまり

1階事務所と壁一面の棚計画

改修後のファサード。トーンを抑えた色調の外壁、自然素材の杉板、新たに前庭を設える事で、通りへ佇まいを柔らかな物にしている。

既存の立面。白いタイル調サイディングと土間コンクリート。少し周囲から浮いた印象を受けた。

2年目の前庭、ジューンベリーと紅葉のアーチの向こうに杉の玄関ドアが見える。庭の計画の詳細はこちら

緑のレイヤー越しの開口部は、通りを歩く人の目線も和らげる。

既存玄関回り

改修後階段室。視線を抜き、2階の室の開放性に寄与している。

階段室の壁をガラスに変えて目線の通し、居間の開放性を強化。

既存階段室のボリューム。せっかくの広めの居間に歪なくねりを発生させ、もったいなく感じる。

居間から台所をみる

台所から居間を見る。天井裏を現ししたので、トップライトが見えるようになった。左上のボリュームは小屋裏収納

居間スペース。

ダイニングスペース。ベランダへの開口に囲まれた明るいスペースとした。

ロフトへは上りやすい梯子を設え、アクセスしやすい活動領域を広げている。

既存居間。

最低限の造作キッチン。現場大工施工で造られている。側板間隔はあらかじめ購入する収納棚に合わせ計画している。

同じく現場大工製作の大きなキッチン作業台。1.7mx1.2m、高さはキッチンに合わせ90cm。お手伝いのしやすい空間。立ち飲みもできるダイニングテーブル、ワークスペースなど多様に使える、新しい過ごし方の提案です。詳しくはこちら

寝返り前の赤ん坊なら寝かせながら食事も可能です。

食器棚は杉25x25とシナランバーコアのみで現場造作できるようデザインしている。

1階事務所。棚は杉25x25材と構造用合板24mmを使った家主のDIY.詳しくはこちらをどうぞ

既存階段壁は撤去、階段下も玄関ホールに開放し、広いスペースを確保した。靴棚は玄関土間からは見えない位置とした。

既存階段下収納。収納確保を優先して狭小な居住空間となっていた。

写真:住山洋

堤町の家

京都市の中心地から少し外れた住宅地にある中古住宅の、家族5人のためのリノベーションである。本住宅には小規模な事務所の併設が求められた。
平成中期の建築である既存建物は、構造耐力、断熱性、気密性、劣化状態ともほぼ問題がなかった。そのため、リノベーションの内容は既存状態から住まい手のライフスタイルに合わせた空間への意匠的な設え直しが主要な項目となっている。
既存建物は、小さめの敷地に建蔽率容積率ともいっぱいに建てられ、北側斜線を避ける形での片流れで南に背の高くなった形状をしており、白を基調としたタイル風窯業系サイディングは樹脂独特の光沢をもって前面の通りに迫るような、落着かない面持ちに感じた。そこで、建物前の土間コンクリートを半分ハツり、そこに背の高い広葉樹を織り交ぜた前庭を配置し、さらに建物外壁をトーンを抑えたグレーへと変更、バルコニー手摺と玄関ドアを自然素材である杉板として、玄関通りへの佇まいを極力控えめで柔らかな物へとしていった。
既存内部は、2階を広めの食堂居間と水回りとした計画であったため通りへの開放性を考慮して空間構成は既存を踏襲している。ただ、階段室のボリュームがせっかくの広めの居間空間を歪にくねらせており、室内景観的・空間利用的にも使いにくい状態であったため、階段室の壁はすべて視線が通る羽目殺しガラスとガラス框戸とし、もっとも過ごす時間の多い居間空間に視覚的広がりを付加している。さらに、限られた空間で無駄遣いとなっていた食堂部分天井裏を現し、居住空間に取り込むことで全体の解放性を強化した。また、
ロフトへの梯子を登りやすいものに変え、アクセスしやすく使いやすいロフト空間とし、活動領域拡張に努めた。
他に、新しい暮らし方の提案である、キッチンスペースの大きな作業台を設置、限られた事務所スペースへの壁一面の大容量棚の計画、事務所スペースからも前庭の緑のレイヤーとなり、目の前の通りと程よい距離感を作っている「堤町の前庭」の計画など詳しくは、それぞれblogにまとめているので、ぜひ下記リンクも参照ください。

概要
所在地:京都府 京都市右京区

構造規模:木造地上2階
床面積:1階42.23㎡、2階42.23㎡、合計84.46㎡、

竣工:2019
施工:嵩倉建設

作庭:甲田貴也 甲田和恵

キッチンスペースの大きな作業台についてのblogはこちら

前庭についてのblogはこちら

事務所の棚についてのblogはこちら

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